KHネオケム (4189)

ストラテジックキャピタル(旧村)積極介入型
保有比率: 15.36% ↑+1.01% 増加変更(増加)
業種: 化学
報告書提出日: 2026-04-07
データ取得日: 2026-04-06
ストラテジックキャピタルは過去1年間の超過勝率61%を記録した──だが今回のKHネオケムは、既に利益の100%超を還元に充てる特異な財務構造。
総合スコア?
(0.0–10.0)
7.0以上
全31件中 ─ 中央値: 5.5 / 上位25%: 6.7
目次
  1. 割安か──バリュエーション指標
  2. どう動くか──介入シナリオと行動確率
  3. 提案は通るか──株主構成と議決権の壁
  4. 下値は堅いか──配当・増配・自社株買い余力
  5. 出口はどこか──シナリオ別試算値
  6. 過去の打率は──実績と勝率
  7. 撤退の兆候は──エグジットシグナルと検知条件
  8. まとめ──スコアの構成と根拠

1. 割安か──バリュエーション指標

今の株価は割高か割安か。PBR・PER・NC比率などの指標から、複数のアプローチで株価水準を検証します。
データ期間の見方 前実 直近の確定決算(有価証券報告書・決算短信)の数値 今予 会社が発表した今期の業績予想に基づく数値 ※ 株価・時価総額は当日終値
PBR(実質)前実?
業種中央値0.80倍
EV/EBITDA前実?
業種中央値13.73倍
ROICスプレッド前実?
ROIC 9.5% − WACC 5.7%

→ PBR(実質)1.34倍は業種中央値0.80倍を67%上回るが、資本コストを3.76%上回るROICとROE 10.7%の収益性が価格を正当化。PER(清原式)10.0倍は業種中央値13.8倍を下回っており、ネットキャッシュを考慮した実質的な収益評価では依然として割安な水準にある。このアクティビストは過去に高ROEかつ低PERの銘柄で還元強化を勝ち取った実績があり、収益力に見合わない市場評価の是正を要求の論拠とする可能性が高い。

根拠データ
判定基準
PBR(実質):
含み益(不動産・政策保有株等)を加味した純資産に対する株価倍率。業種中央値との乖離で割安/割高を判断する基礎指標。1.0倍未満: 割安圏、1.0-1.5倍: 中立圏、1.5倍以上: 割高圏。

EV/EBITDA:
企業価値(時価総額+有利子負債−現金)÷ EBITDA。キャッシュフローベースの企業価値評価。業種中央値比0.8未満: 割安圏、0.8-1.2: 中立圏、1.2超: 割高圏。EBITDAが取得できない場合はPER(清原式)で代替。

ROICスプレッド:
ROIC − WACC。プラスなら資本コスト以上の利益を創出(価値創造)、マイナスなら価値破壊。10%超: 強い価値創造、0-10%: 中立水準、マイナス: 価値破壊。

NC比率(清原式):
ネットキャッシュ(流動資産+投資有価証券×70%−負債合計)÷時価総額。高いほどアクティビストが還元強化を要求する根拠が強くなる。
市場評価 vs 実力値

株価: 2,775円 / 発行済株式数: 37,149,400株

指標市場の評価実力値(調整後)業種中央値
PBR前実 1.34倍 PBR(実質) 1.34倍 0.80倍
PER今予 11.48倍 PER(清原式)前実 10.0倍 13.8倍
純資産前実 726億円 修正純資産 726億円 -
時価総額 1,031億円 理論時価総額 1,358億円 -
配当利回り今予 3.96% 潜在利回り前実 4.35% 配当性向中央値32.6%
EV/EBITDA前実 6.33倍 - 13.73倍
NC比率(清原式)前実 15.4% 目安 約10%
NC額(清原式)158億円
├ 流動資産673億円
├ 投資有価証券86億円(×70%)
└ 負債合計575億円
📝 指標の説明
  • PBR(株価純資産倍率): 前期末の簿価純資産に対する株価の倍率。会社を今すぐ解散した場合の資産価値に対して、株価が何倍かを示す。1.0倍なら帳簿上の資産と株価が同じ。1倍割れは東証の「資本コストや株価を意識した経営」要請の対象。アクティビストが「株主資本を有効活用できていない」と指摘する最も基本的な根拠になる。
  • PBR(実質): 前期末の修正純資産(含み益加味)に対する株価の倍率。帳簿に載っていない「隠れた資産価値」を反映する。簿価PBRが1倍超でも、不動産や株式の含み益を加えると実質的に割安になるケースがある。アクティビストは実質PBRを重視し、含み資産の売却・活用を要求する根拠にする。
  • PER(株価収益率): 今期の会社予想EPSに基づく株価収益率。今の利益水準で投資額を回収するのに何年かかるかの目安。低いほど利益に対して株価が割安。業種中央値より高ければ市場の期待が大きい。低ければ過小評価されている可能性があり、アクティビストが「株価を引き上げる施策」を要求する根拠になりうる。
  • PER(清原式): (時価総額 − 前期末ネットキャッシュ) ÷ 前期確定純利益。余剰現金を差し引き、事業の利益力だけに対するPERを算出する。通常PERより低くなるほど「現金の厚み」が株価に織り込まれていない。清原式PERが業種中央値を大幅に下回る企業は、現金を抱え込んだまま事業効率を高めていない可能性が高く、アクティビストの還元要求の典型的な対象。
  • 修正純資産: 簿価の純資産に、保有不動産の含み益・有価証券の含み益を加算した「実態ベース」の純資産額。この金額が大きいほど企業の「隠れた資産」が多い。遊休資産の売却、政策保有株の解消、不動産のリート化など、アクティビストが資産活用を要求する原資の規模を示す。
  • EV/EBITDA: 企業価値(時価総額+前期末有利子負債−現金)÷ 前期実績EBITDA。減価償却の影響を除いたキャッシュフローベースの企業価値倍率。M&A(企業買収)で最も使われる値付けの尺度。業種中央値より低ければ買収対象として割安であり、TOB(公開買付け)の可能性を測る目安にもなる。
  • NC比率(清原式): 前期末ネットキャッシュ(流動資産+投資有価証券×70%−負債合計)÷時価総額。時価総額に対して余剰現金をどれだけ抱えているかの比率。この比率が高い企業は「現金を溜め込んでいる」とみなされる。自社株買い・増配・特別配当の要求根拠になり、比率が高いほどアクティビストの介入動機が強い。
  • 理論時価総額: 清原式事業価値モデル(モデルB)による試算値。算式: 理論時価総額 = 適正事業価値 + ネットキャッシュ。適正事業価値 = (市場評価の事業価値 ÷ PER清原式) × 業種PER中央値。現在の事業利益を業種平均の評価倍率で再評価し、余剰現金を加算した理論上の企業価値。理論時価総額が現在の時価総額を上回る場合、市場が企業価値を過小評価している可能性を示す。アクティビストはこの乖離を根拠に、株主還元や資本政策の見直しを要求する。
  • 潜在利回り: 前期実績の利益を前提に、配当性向を引き上げた場合に実現しうる理論上の配当利回り。算式: 潜在利回り = EPS × MAX(業種配当性向中央値, 50%) ÷ 株価。配当性向の下限を50%に設定する根拠は、東証が上場企業に求める資本コスト経営の水準と、アクティビストが一般的に要求する配当性向の最低ラインに基づく。潜在利回りが現在利回りを大きく上回る場合、増配余力が大きいことを意味し、アクティビストの増配要求が企業価値向上に寄与するシナリオの蓋然性が高い。
セクター相対評価

業種: 化学(33業種分類)

指標 当社値 業種中央値 対業種比
PBR前実 1.34倍 0.80倍 1.68倍
ROE前実 10.7% 6.0% 1.78倍
PER今予 11.48倍 13.79倍 0.83倍
配当性向(実績)前実 50.0% 32.6% 1.53倍
📝 指標の説明
  • 対業種比: 当社値÷業種中央値。1.0=業種平均水準
  • 業種内順位(%ile): 業種内でのパーセンタイル順位。PBR・PER: 低%ile=割安 / ROE: 高%ile=高効率
  • ROE(自己資本利益率): 前期確定の純利益÷自己資本。株主の出資に対してどれだけ効率的に利益を稼いでいるか。8%未満なら東証の「資本コストを意識した経営」要請の対象。アクティビストが改善を要求する根拠になる。
  • 配当性向(実績): 前期確定の純利益のうち配当に回した比率(実績値)。会社予想ベースの配当性向はS4に記載。低すぎれば増配要求の余地が大きい。高すぎれば持続性に問題があり、利益成長が求められる。
資本効率・価値創造
指標
Beta(1年)? 0.90
株主資本コスト前実? 6.4%
WACC前実? 5.7%
ROIC前実? 9.5%
ROICスプレッド前実? 3.8%
EVA(経済的付加価値)前実? 33億円
デュポン分析?
売上高純利益率前実? 6.8%
総資産回転率前実? 0.88回
財務レバレッジ前実? 1.79倍
ROE? 10.7%
負債構造
D/Eレシオ前実? 0.23倍

出典: EDINET有価証券報告書 (S100XT28)大量保有報告書 (S100XW6X)

【編集部注】 実質的に割安な水準にある。だが、ファンドが純投資のまま静観する蓋然性はどの程度か。


2. どう動くか──介入シナリオと行動確率

大量保有報告書は出した──次の問いは、純投資のままか、経営に変化を求めるか。報告書の文言・過去の行動パターンから、介入の方向性と確率を読みます。
行動確率?
過去11件中10件

→ 行動確率91%(11件中10件)であり、このアクティビストが「純投資」のまま沈黙を守る蓋然性は極めて低い。2ヶ月で+9.87ppという急速な買い増しペースは、過去に取締役送り込みに成功したダイドーリミテッドや、苛烈なキャンペーンを展開中のガンホーと同様の「本気モード」の初動であり、近い将来に特設サイト開設やDOE導入要求等の具体的アクションが顕在化する可能性が高い。

主要戦略: DOE導入による還元強化要求 / 副次的な戦略: 政策保有株の全量売却要求

推定取得単価2,705円に対し現在株価2,775円(乖離+2.6%)。含み益圏内。

共同保有者・貸株・担保契約:担保契約等あり((6)【当該株券等に関する担保契約等重要な契約】 Intertrust Trustees(Cayman)Limitedとの投資一任契約に基づく顧客資産運用として5,332,600株保有しております。そのうち、株券等消費貸借契約により、500,000株を立花証券株式会社に対して貸出しております。)

📝 指標の説明
  • 行動確率: このアクティビストの過去の全保有案件のうち、実際に株主提案・増配要求等の行動に移った割合。75%以上なら過去の実績上ほぼ確実に動く。50%未満なら純投資で終わる可能性も。
  • 推定取得単価: 大量保有報告書の記載(取得価格×株数)から加重平均で算出した1株あたり推定コスト。現在株価がこれを下回ると含み損。撤退圧力が発動する水準であると同時に、追加買い増しの動機にもなる。
  • 共同保有者: 同一目的で株式を共同保有する者。報告書の「共同保有者」欄に記載。共同保有者がいれば実質的な議決権はその合算。表面上の保有比率より影響力が大きい場合がある。
  • 貸株・担保契約: 保有株式の貸株や担保提供の有無。貸株に出していれば議決権行使時に回収が必要。担保差入れがあれば追加投資の制約になりうる。
根拠データ
判定基準
行動確率:
このアクティビストの過去の全保有案件のうち、実際にエスカレーション(株主提案・対話要求等)に移った比率。75%なら4件中3件で行動に転じた実績。保有目的文言はテンプレート化されていることが多いため、文言一致ではなく全案件ベースで算出。灰色固定表示。

ISS/Glass Lewis基準該当: 一般公開基準への形式的該当を示す。実際の個別推奨は非公開(有料レポート)のため「反対推奨された」と断定するものではない。
トラックレコード(保有目的 vs 実行動)
過去の行動実績(典型的な保有目的: 「純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと」という定型…)
分析対象案件: 11件
実際の行動に移った確率: 91% (過去11件中10件)

行動に移った事例:
ガンホー(2024年)
10%超取得後に特設サイト開設、孫泰蔵氏からの自己株買い取りと巨額配当を要求
ダイドーリミテッド(2024年)
委任状争奪戦により取締役3名を送り込み、直後にエグジット成功
東亜道路工業(2023年)
不祥事をテコにDOE 8%導入を要求、株価上昇後に段階的売却
ゴールドクレスト(2023年)
取締役会議事録の閲覧謄写請求という法的手段を行使
大阪製鐵(2023年)
親会社へのCMS預け入れを批判し、DOE 8%導入と非公開化検討を要求
淀川製鋼所(2023年)
不採算事業の整理と相談役制度の廃止を要求
日産自動車(2024年)
系列解体と上場子会社の整理を要求
京阪神ビルディング(2020年)
敵対的TOBを仕掛け、経営陣の報酬ゼロ化を提案
日本製鉄(2024年)
米国買収案件を全面的に支持する特設サイトを開設(支援型)
ワキタ(2020年)
株主提案否決後に「非公開化すべき」と最後通牒
行動なし(保有目的のまま)
1件

保有事由の変遷(22件): 事由変更 0件 / 同一事由 22件

同一事由の 22件を表示
A&Dホロンホールディングス(7745) 最終保有 6.36%(最大 6.36%)
初回 2026-02-13
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2026-02-18 同一事由
KHネオケム(4189) 最終保有 10.91%(最大 10.91%)
初回 2026-02-09
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2026-02-17 同一事由
ノリタケ(5331) 最終保有 9.38%(最大 9.38%)
初回 2025-07-17
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2026-02-18 同一事由
オリエントコーポレーション(8585) 最終保有 10.77%(最大 10.77%)
初回 2025-07-01
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2026-02-18 同一事由
ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765) 最終保有 9.65%(最大 9.65%)
初回 2024-10-16
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2026-02-16 同一事由
山洋電気(6516) 最終保有 15.89%(最大 15.89%)
初回 2024-08-27
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2026-02-16 同一事由
イエローハット(9882) 最終保有 13.83%(最大 13.83%)
初回 2024-07-26
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2026-02-16 同一事由
京阪神ビルディング(8818) 最終保有 10.54%(最大 10.54%)
初回 2024-02-15
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2026-02-06 同一事由
大阪製鐵(5449) 最終保有 12.37%(最大 12.37%)
初回 2023-12-26
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2026-02-06 同一事由
ヨドコウ(5451) 最終保有 7.84%(最大 7.84%)
初回 2023-09-15
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2026-02-06 同一事由
ゴールドクレスト(8871) 最終保有 14.67%(最大 14.67%)
初回 2023-08-08
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2026-02-06 同一事由
東亜道路工業(1882) 最終保有 3.97%(最大 15.94%)
初回 2023-06-07
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2025-12-03 同一事由
ダイドーリミテッド(3205) 最終保有 0.00%(最大 24.85%)
初回 2022-11-25
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2024-07-12 同一事由
文化シヤッター(5930) 最終保有 3.74%(最大 6.50%)
初回 2022-05-10
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2024-06-11 同一事由
極東貿易(8093) 最終保有 3.75%(最大 17.39%)
初回 2021-11-04
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2023-02-01 同一事由
世紀東急工業(1898) 最終保有 4.99%(最大 15.58%)
初回 2021-06-08
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2023-08-07 同一事由
有沢製作所(5208) 最終保有 4.96%(最大 12.58%)
初回 2021-06-07
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2024-09-05 同一事由
淺沼組(1852) 最終保有 6.89%(最大 11.42%)
初回 2021-06-07
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2022-04-26 同一事由
極東開発工業(7226) 最終保有 4.96%(最大 7.72%)
初回 2021-05-26
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2024-12-09 同一事由
日本証券金融(8511) 最終保有 3.96%(最大 5.04%)
初回 2021-05-21
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2024-02-05 同一事由
タチエス(7239) 最終保有 4.46%(最大 9.94%)
初回 2021-03-15
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2023-07-10 同一事由
ワキタ(8125) 最終保有 4.70%(最大 9.01%)
初回 2020-11-11
純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
最終 2025-08-29 同一事由

※ 事由変更ありの行は左線ハイライト。報告日リンクからEDINETの1次情報を確認できます。

大量保有報告書の提出履歴(全件)
報告日株価保有比率保有目的
2026-02-09 2,778円 5.49% 純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
2026-02-09 2,778円 7.85% 純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
2026-02-17 2,945円 10.91% 純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
2026-02-25 3,025円 12.05% 純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
2026-02-27 3,115円 12.07% 純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
2026-03-16 2,813円 13.13% 純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
2026-03-17 2,819円 14.35% 純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。
2026-04-07 2,775円 15.36% 純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと。

出典: 大量保有報告書 (S100XW6X)

【編集部注】 急速な買い増しが確認された。では、この提案を受け入れる余地はガバナンス構造にあるか。


3. 提案は通るか──株主構成と議決権の壁

株主提案は通るか。固定株主の壁と浮動株の構成から、アクティビストの議決権戦略が成立する条件を検証します。
実質安定株主比率前実?
壁の合計(鈴木式)
アクティビスト保有?
最新報告書

→ 実質安定株主比率14.6%という構成は、アクティビストの提案が受け入れられやすい構成である。同業他社と比較しても安定株主の壁が極めて薄く、筆頭株主であるストラテジックキャピタルが15.36%を保有する現状では、経営陣が株主の要求を無視し続けることは困難である。過去の化学セクターでの成功実績を踏まえると、議決権行使を通じたガバナンス改革の蓋然性は高い。

根拠データ
判定基準
実質安定株主比率:
鈴木式固定株分析。A(その他法人) + B(政府) + C(自己株式) + D(個人大株主) + E(政策保有金融×0.7) + F(外国戦略株主) + G(オーナー系ファンド) + H(持株会×0.5) − I(国内VC控除)。70%以上: 壁が厚い、30-70%: 中間水準、30%未満: 提案受入の障壁が低い。

アクティビスト保有比率:
最新の大量保有報告書に基づく保有比率。参考情報として灰色表示。

オーナー持株比率:
CEO・関連資産管理会社の合計保有比率。20%超: 拒否権に近い水準、5-20%: 中間水準、5%未満: 低水準。

外国法人等保有比率:
海外機関投資家・ファンド等の保有比率。外国法人等の比率が高い企業は株主還元・ガバナンス改善への圧力が強い傾向があり、アクティビストの提案が賛同を得やすい環境を示す。
安定株主比率の内訳(鈴木式)
指標
実質安定株主比率(鈴木式) 14.6%
├ A. その他法人 13.2%
├ B. 政府・公共団体 0.0%
├ C. 自己株式 0.0%
├ D. 個人大株主 0.0%
├ E. 政策保有金融(×0.7) 1.4% (2.0% × 0.7) (株式会社みずほ銀行)
├ F. 外国戦略株主 0.0%
├ G. オーナー系ファンド 0.0%
├ H. 持株会・共栄会(×0.5) 0.0%
└ I. 国内VC控除 −0.0%

※ A・B・Cは発行済株式ベース、D・E・G・Hは大株主データ(自己株式除外ベース)のため、内訳の単純合計と比率は一致しない場合があります。

所有者別構成(法定開示区分)
金融機関27.0%
証券会社3.5%
その他法人12.1%
外国法人等36.3%
個人その他21.2%
自己株式5.4%
大株主一覧(上位10名)
#株主名所有者区分持株比率保有株数(株)
1 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 金融機関 16.6% 5,899,300
2 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 金融機関 14.8% 5,206,300
3 株式会社日本カストディ銀行(信託口) 金融機関 10.8% 3,845,400
4 株式会社日本カストディ銀行(信託口) 金融機関 8.0% 2,827,400
5 東ソー株式会社 その他法人 5.3% 1,852,000
6 東ソー株式会社 その他法人 5.2% 1,852,000
7 STATESTREETBANKANDTRUSTCOMPANY505001(常任代理人株式会社みずほ銀行決済営業部) 外国法人等 3.4% 1,193,279
8 STATESTREETBANKANDTRUSTCOMPANY505001(常任代理人株式会社みずほ銀行決済営業部) 外国法人等 2.7% 973,019
9 株式会社みずほ銀行 金融機関 2.1% 733,300
10 株式会社みずほ銀行 金融機関 2.1% 733,300
支配構造リスク
リスク項目判定詳細
オーナー管理
判定結果CEOまたは資産管理会社が大株主5%以上に該当せず
非該当 -
親子上場
判定結果該当する上場大株主なし
筆頭株主日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)(16.6%)
非該当 -
筆頭株主が上場企業 -
上場大株主あり(20%超) -
政策保有・相互保有
#銘柄名コード株数時価持ち合い
1 東京応化工業㈱ 4186 137,200株 1,069百万円
2 関西ペイント㈱ 4613 254,431株 625百万円
3 日油㈱ 4403 104,500株 338百万円
4 ㈱日本触媒 4114 71,600株 161百万円
5 新日本理化㈱ 4406 609,000株 124百万円
6 大伸化学㈱ 4629 50,000株 98百万円
7 日本ペイントホールディングス(株) 4612 26,426株 26百万円
8 ナトコ(株) 4627 12,000株 21百万円
9 日産化学(株) 4021 N/A N/A
10 日本ペイント ホールディングス㈱ N/A N/A
11 ロックペイント㈱ 4621 N/A N/A
12 日本ペイント ホールディングス㈱ 4,823株 N/A
LOW 対時価総額比率4.7%
📝 指標の説明
  • 実質安定株主比率: 鈴木式9変数モデル。A+B+C+D+E×0.7+F+G+H×0.5−I。30%未満=攻略しやすい、30-70%=拮抗、70%以上=壁が厚い。直近の有価証券報告書に記載された大株主データに基づく。期中の売買は反映されない。この比率が低いほどアクティビストの委任状争奪で賛同票を集めやすい。
  • A. その他法人: 事業法人・持株会社等(所有者別状況)。取引先持ち合い等の固定株の中核
  • B. 政府・公共団体: 国・地方自治体・公的機関の保有分。政策的に売却されにくい完全固定株
  • C. 自己株式: 会社自身が保有する株式。議決権がなく、消却すれば1株あたり価値が上昇する。自己株式の消却要求はアクティビストの定番施策。
  • D. 個人大株主: 創業家・役員本人または同姓の個人。経営権に直結し最も固定度が高い
  • E. 政策保有金融(×0.7): 銀行・生損保等。東証の政策保有解消要請を受け3割は流動化リスクありとみなし係数0.7で割引
  • F. 外国戦略株主: 海外の事業パートナー等による戦略的保有。純投資ではなく売却されにくい
  • G. オーナー系ファンド: 創業家の資産管理会社等。オーナーの意向で固定される株式
  • H. 持株会・共栄会(×0.5): 従業員・取引先持株会。半分は退職・脱退で流動化するため0.5倍で算入。持株会が厚いと安定株が多いが、係数0.5なので壁としては薄い。
  • I. 国内VC控除: ベンチャーキャピタル・投資組合等。Exit狙いの純投資家であり固定株から完全除外
  • 所有者区分: 有価証券報告書の法定開示区分。金融機関(信託銀行含む)・証券会社・その他法人・外国法人等・個人その他・自己株式に分類。外国法人等の比率が高い企業はガバナンス改善圧力が強く、アクティビストの提案に賛同票が集まりやすい。
  • オーナー管理: CEOまたはその資産管理会社が大株主に名を連ね保有比率5%以上の場合に該当。経営陣の支配力が強くアクティビストの提案が通りにくい。ただし対話型アプローチで改善を引き出すケースもある。
  • 親子上場: 上場企業が過半数保有でCRITICAL、20%超大株主でHIGH。固定株が多く提案が通りにくい。上場企業による支配はガバナンス上の論点であり、アクティビストの分離・独立要求の対象になりうる。
  • 筆頭株主が上場企業: 最大株主が上場企業であるか。親子上場に準ずる構造的課題を示す。議決権支配によりアクティビストの提案が否決されるリスクがある。
  • 上場大株主あり(20%超): 20%超を保有する上場企業の大株主がいるか。親子上場に準じるリスク。安定株主の壁として機能しアクティビストに不利。
  • 政策保有リスク: HIGH=対時価総額比率5%超 / MODERATE=1-5% / MINIMAL=1%未満。売却すれば株主還元の原資になりうる。東証の政策保有解消要請が追い風。
  • 持ち合い: 当社の株式を相手方も保有している相互保有関係。有報の「当該株式の発行者による当社株式の保有の有無」に基づく

※ 安定株主比率の各項目は有価証券報告書(EDINET開示)のXBRLデータに基づいています。解析精度により一部データが正確に取得できていない場合があります。

保有比率の推移

2026-02-09〜2026-04-07 で 5.49% → 15.36% (全8回報告・平均 1.41%/回)

報告日保有比率増減報告書
2026-02-09 5.49% ±0 ← 初回 S100XJ0M
2026-02-09 7.85% +2.36% S100XJFV
2026-02-17 10.91% +3.06% ← 10%突破 S100XK9N
2026-02-25 12.05% +1.14% S100XM2I
2026-02-27 12.07% +0.02% S100XMKB
2026-03-16 13.13% +1.06% S100XPUG
2026-03-17 14.35% +1.22% S100XQD1
2026-04-07 15.36% +1.01% ← 最新 S100XW6X

→ 保有比率は5.5%から15.4%へ段階的に増加。継続的な買い増しが確認されます。

【過去の類似パターンとの照合】
現在のパターン: 2026年2月9日の5.49%から4月7日の15.36%まで、約2ヶ月間で+9.87ppの急速取得。報告頻度も極めて高い。

類似事例:
ダイドーリミテッド(2022年)
パターン: 段階的に買い増し、プロキシファイトを仕掛ける水準まで積み上げ。
その後の行動: 独自取締役候補の選任提案。
結果: 取締役3名の選任に成功し、その後全株売却による利益確定。
ガンホー・オンライン・エンターテイメント(2024年)
パターン: 数ヶ月で保有比率を10%近辺まで急速に引き上げ。
その後の行動: 特設サイト開設と、筆頭株主の地位を利用した過激な株主提案。
結果: 現在進行形だが、経営陣への強烈なプレッシャーとして機能。
東亜道路工業(2023年)
パターン: 15%超まで買い増し、筆頭株主化。
その後の行動: DOE 8%導入要求と不祥事追及。
結果: 株価バリュエーション是正後の段階的エグジット。

パターン分析:
過去の急速取得ケースでは、15%前後の保有比率到達が「宣戦布告」のトリガーとなる傾向がある。本件でも筆頭株主となったことで、次回の株主総会に向けた株主提案や、その前段階としての特設サイト開設による公開質問状の送付が数ヶ月以内に発生する蓋然性が極めて高い。

過去の行動パターン詳細と、理論株価から見た株価の位置づけは以下のセクションで分析します。
ガバナンス
指標
社外取締役比率前実 56% (5名 / 9名)
社外役員比率(取締役+監査役) 56%
買収防衛策 TDnet開示なし
取締役・監査役一覧
氏名役職区分保有株数持株比率
髙橋理夫 代表取締役社長 社長執行役員 取締役 39,619株 0.1%
濵本真矢 取締役 常務執行役員 取締役 30,753株 0.1%
藤間敏明 取締役 執行役員 取締役 5,955株 0.0%
高橋功 取締役 (常勤監査等委員) 取締役 5,214株 0.0%
宮入小夜子 取締役 社外取締役 5,100株 0.0%
河合和宏 取締役 (監査等委員) 社外取締役 1,900株 0.0%
土屋淳 取締役 社外取締役 1,300株 0.0%
菊池祐司 取締役 社外取締役 800株 0.0%
田村恵子 取締役 (監査等委員) 社外取締役 N/A N/A

※「社外」はEDINET開示の役職名に基づく分類。

📝 指標の説明
  • 社外取締役比率: 独立した外部の人が取締役会に占める割合。過半数なら株主提案が通りやすい
  • 社外役員比率: 取締役と監査役を合わせた全役員に対する社外役員の割合
  • 買収防衛策: TDnet適時開示のタイトルマッチで判定。有報本文・XBRLは未参照。開示がない場合、未導入とは限りません

出典: EDINET有価証券報告書 (S100XT28)

【編集部注】 提案が通りやすい構成にある。次に、現行の還元水準が下値を支える論拠となり得るかを確認する。


4. 下値は堅いか──配当・増配・自社株買い余力

株価が下がったらどこまで耐えられるか。現在の配当利回り・増配要求が通った場合の利回り変化から、配当込みの損益分岐ラインを試算します。
配当利回り今予?
現在水準
総還元性向前実?
配当+自社株買い÷純利益

配当性向(実績): 50.0%

→ 配当利回り3.96%はFCF利回り8.88%で十分にカバーされており、現行水準の維持・拡大に向けた余力は極めて大きい。総還元性向が110.2%と利益を上回る還元を実施しているが、NC比率15.3%の現預金と政策保有株4.67%の売却余力が、アクティビストによるDOE導入要求の論拠の一つとなる。現在の利回りは下値を支える水準にあるが、アクティビストの介入により「業績に左右されない安定配当」への転換がカタリストとなる構成。

根拠データ
判定基準
配当利回り:
1株あたり配当 ÷ 株価。現在の水準での基本指標。

総還元性向:
(配当+自社株買い)÷純利益。80%未満: 健全水準、80-100%: 高水準、100%超: 利益以上に還元しており持続不能。

配当性向:
① AI推定配当性向: このアクティビストの過去の増配要求実績(1件以上)と財務指標を統合してAIが推定した配当性向。
② シミュレーション配当性向: 過去実績なしの場合、MAX(業種配当性向中央値, 50%)を仮定値として使用。これは仮定に基づく試算であり、予測ではない。

増配余力:
NC比率が高いほど現金余剰が大きく、配当性向を引き上げても財務の安全性を損なわない。総還元性向100%超は持続不能。
増配シミュレーション
※ シミュレーションは前期確定EPSに基づく試算
シナリオ配当性向シミュレーション利回り?
現状50.0%4.0%
50%シナリオ?50%4.0%
75%シナリオ?75%5.9%
100%シナリオ?100%7.9%
配当・還元データ
指標判断
NC比率前実? 15.4% 余剰現金あり。増配原資は一定
総還元性向前実? 110.2% 利益以上に還元しており持続不能
FCF利回り前実? 8.9% FCF潤沢。増配の持続可能性が高い
業種配当性向中央値前実? 32.6% 現在50.0%は既に業種を上回る水準
配当実績
配当性向(予想)? 47.0%
DOE前実? 5.4%
配当成長率(前年比)? 16.7%
配当CAGR(3年)? 7.3%
自社株買い
自社株買い余力前実? 92億円
自社株買い余力比率? 8.9%

出典: EDINET有価証券報告書 (S100XT28)

【編集部注】 配当利回りは下値を支えている。では、アクティビストが想定する出口戦略と理論株価の乖離は何か。


5. 出口はどこか──シナリオ別試算値

何が起きたら、いつまでに、いくらで売れるのか。出口が見えなければ全体像が掴めない。
ここまでの分析を統合し、カタリストのスケジュールとトリガー条件から3シナリオの出口を描きます。
3シナリオ試算値レンジ?
弱気2,075円〜強気6,277円

現在株価: 2,775円

→ 試算値レンジ2,075〜5,492円(中央値3,655円)に対し、現在株価2,775円は中央値を24%下回る。推定取得単価2,704円が下値支持線として機能しており、アクティビストが含み益を確保した状態での出口戦略は、配当還元モデルが示す5,492円への接近、あるいはDOE導入による還元安定化の公表がトリガーとなる蓋然性が高い。

根拠データ
判定基準
3シナリオ試算値レンジ:
5つの理論株価モデルの最小値〜最大値。現在株価がレンジのどこに位置するかで割安/割高を視覚的に把握。

理論株価5モデル:
A: 清原式事業価値+余剰現金 / B: PBR(実質)是正 / C: EV/EBITDA逆算 / D: 配当還元 / E: DOE逆算
理論株価試算値 = 常に算出可能な3モデル(A・B・D)の中央値。

推定取得単価: 大量保有報告書の記載から逆算。アクティビスト側の損益分岐であり、撤退圧力の発動水準。
3シナリオのトリガー条件
シナリオ試算値現在株価比トリガー条件(何が起きたら)
強気 6,277円 +126.2% 会社側がDOE導入を公式に採用し、配当利回りが5%を超える水準まで再評価されるシナリオ
中立 3,655円 +31.7% 株主提案は否決されるが、会社側が自社株買い等の対抗措置を継続し、株価が下支えされる膠着シナリオ
弱気 2,075円 -25.2% 経営陣が対話を完全に拒絶し、かつ他の機関投資家の賛同が得られずアクティビストが早期撤退を選択するシナリオ
下値参照 2,705円 -2.5% 推定取得単価。これを下回ると撤退圧力が発動する水準
理論株価5モデル比較
モデル理論株価現在株価比
事業価値+余剰現金(清原式)
PER(清原式) 10.0倍 → 業種PER中央値 13.8倍 で事業を再評価し、NCを加算
NC 15,829百万円 + 適正事業価値 119,937百万円 = 理論時価総額 135,766百万円
→ 理論株価: 3,655円
3,655円 +31.7%
EV/EBITDA逆算
EV = EBITDA × 業種EV/EBITDA中央値 → 理論時価総額 = EV − 有利子負債 + 現金
→ 理論株価: 6,277円
6,277円 +126.2%
配当還元
配当性向をMAX(業種中央値32.6%, 50%)=50.0%とした場合
潜在EPS 241.6円 × 50.0% = 潜在DPS 120.8円
→ 理論株価: 5,492円(要求利回り TOPIX平均2.2%)
5,492円 +97.9%
DOE逆算(3%ターゲット)
BPS × ターゲットDOE(3%) ÷ 要求利回り(2.2%)で算出。
算出不可: BPS(1株純資産)が未取得
N/A BPSが未取得
PBR(実質)是正
PBR(実質) 1.34倍 → 適用PBR 1.00倍(業種中央値0.80倍)
→ 理論株価: 2,075円
修正純資産 726億円(不動産含み益データなし)
※ PBR(実質)を業種中央値に機械的に収斂させた参考値。高ROE企業では控えめな試算となる傾向があります
2,075円 -25.2%
理論株価試算値(中央値)
常に算出可能な3モデル(清原式・PBR是正・配当還元)の中央値。
算出可能モデル数: 3件 → 中央値: 3,655円
3,655円 +31.7%
下値参照(推定取得単価)
推定取得単価 2,705円 に対し現在株価 2,775円(乖離 +2.6%)。
※推定取得単価は大量保有報告書記載の取得価格・株数から加重平均で算出(提出日: 2026-04-07)
2,705円 撤退圧力発動水準

※理論株価試算値は常に算出可能な3モデル(清原式・PBR是正・配当還元)の中央値。

📝 指標の説明
  • 事業価値+余剰現金(清原式): 前期確定純利益と前期末NCを計算元に、PER(清原式)を業種中央値PERで再評価し、ネットキャッシュを加算した理論株価。事業の利益力を業種標準で評価した「フェアな値段」。これより安ければ市場が事業価値を過小評価している。
  • PBR(実質)是正: 前期末の修正純資産ベース。修正純資産×業種中央値PBRで算出。資産ベースの理論株価。PBRが業種中央値に収斂する想定。含み益が大きい企業ほどこのモデルでの理論株価が高くなる。
  • EV/EBITDA逆算: 前期実績EBITDAベース。業種中央値のEV/EBITDA倍率でEBITDAを再評価し、負債と現金を調整して株価を逆算。グローバルM&Aで最も使われる尺度。買収される場合の「値段」に近い。
  • 配当還元: 前期確定EPSベース。増配後の想定DPSを市場平均配当利回りで割り引いた理論株価。増配要求が通った場合の潜在株価。配当性向引き上げの余地が大きいほど理論株価が高くなる。
  • DOE逆算: 前期末BPSベース。BPS×ターゲットDOE(3%)÷要求利回り。自己資本配当率をベースにした理論株価
  • 推定取得単価: 大量保有報告書に記載される取得価格と株数の加重平均。複数回の報告がある場合は直近の値を使用。これがアクティビストのコスト。この水準を意識して行動するため、撤退・追加投資の分岐点になる。
  • 理論株価試算値(中央値): 常に算出可能な3モデル(清原式・PBR是正・配当還元)の中央値。外れ値の影響を排除した代表値
このアクティビストの過去の行動パターン
銘柄行動内容結果
ダイドーリミテッド(2022年) 独自取締役候補の選任提案。 取締役3名の選任に成功し、その後全株売却による利益確定。
ガンホー・オンライン・エンターテイメント(2024年) 特設サイト開設と、筆頭株主の地位を利用した過激な株主提案。 現在進行形だが、経営陣への強烈なプレッシャーとして機能。
東亜道路工業(2023年) DOE 8%導入要求と不祥事追及。 株価バリュエーション是正後の段階的エグジット。
パターン分析(AI抽出値):
過去の急速取得ケースでは、15%前後の保有比率到達が「宣戦布告」のトリガーとなる傾向がある。本件でも筆頭株主となったことで、次回の株主総会に向けた株主提案や、その前段階としての特設サイト開設による公開質問状の送付が数ヶ月以内に発生する蓋然性が極めて高い。
※ 上記はAIが抽出した参考値です。SQLによるルールベース集計ではありません。

出典: 大量保有報告書 (S100XW6X)EDINET有価証券報告書 (S100XT28)

【編集部注】 現在株価は試算値中央値を下回る。過去、同ファンドが同様の状況で超過収益を上げた実績は十分か。


6. 過去の打率は──過去13件でTOPIXに勝てたか

このアクティビストは過去、市場平均に勝てたか。勝率が低くても、個別の需給・財務条件が違えば結果は変わる──その違いをS1〜S5で多面的に検証してきました。
勝率(1年)?
13件中
超過リターン中央値?
TOPIX対比・1年

期待値スコア: 3.30

→ TOPIX超過勝率(1年)62%(13件)、期待値スコア3.30。過去17件のバックテスト実績に基づく参考値です。

根拠データ
判定基準
大量保有報告書が公開された翌営業日の始値を基準に、その後の株価パフォーマンスを検証しています。
「勝ち」= 報告書公開翌営業日の始値を起点に、1年後の株価リターンがTOPIXを上回った案件
対象:ストラテジックキャピタル(旧村)の過去17件の大量保有案件(うち1年以上経過し成績が確定した13件で勝率を算出)

勝率: 60%以上は市場平均を上回る傾向、50%未満は市場平均を下回る傾向。
超過リターン中央値: プラスなら市場平均を上回る実績。

※ リターンは報告翌営業日の始値から一律1年後の株価で算出しており、アクティビストの途中撤退は考慮していません。
開示翌日基準の成績(報告翌営業日始値)
期間 勝率 リターン中央値 リターン平均値 対象件数
3ヶ月 40% -3.3% -2.9% 15
6ヶ月 47% -4.4% 0.9% 15
1年 62% 5.4% 3.8% 13
2年 60% 2.0% 30.1% 10

(参考)絶対リターン: 1年勝率 62% / 平均+13.4%、 2年勝率 90% / 平均+55.2%

📝 指標の説明
  • 期待値スコア: 勝率×超過リターン中央値。プラスなら「平均的に市場を上回る」ことを示す総合指標。スコアがプラスのアクティビストは、過去に市場平均を上回る成果を出してきた実績がある。
  • 勝率: このアクティビストの過去投資先のうち、同期間のTOPIXリターンを上回った銘柄の割合。50%超なら市場平均に勝つ確率が高い
  • リターン中央値: TOPIX対比の超過リターンの中央値。典型的なケースでの実力を示す。外れ値の影響を受けにくい
  • リターン平均値: TOPIX対比の超過リターンの平均値。大きなリターンを出した銘柄の影響を受けやすい
  • 対象件数: 分析に使用した過去の投資先銘柄数。多いほど統計的信頼性が高い
  • 絶対リターン vs TOPIX超過リターン: 絶対リターンは株価の変動率そのもの。超過リターンは同期間のTOPIXリターンを差し引いた値。相場全体が上がった時に超過リターンがマイナスなら、市場に劣後しただけで実額ではプラスの場合もある。両方を見ることで実力を正確に把握できる。
  • スタイル: 積極介入型=株主提案・委任状争奪を積極的に行う / 建設的対話型=対話重視で改善を促す / パッシブ型=大量保有のみで積極的な働きかけは少ない
  • 算出方法の注意: リターンは報告翌営業日の始値から一律1年後(365日後以降の最初の営業日終値)の株価で機械的に算出しており、アクティビストの途中撤退は反映されていません。
アクティビスト自身の成績(推定取得単価基準)
期間 勝率 リターン中央値 リターン平均値 対象件数
1年 77% 26.6% 23.6% 13
2年 90% 15.4% 59.9% 10

※ 報告書記載の推定取得単価を基準にした成績です。取得単価の精度に限界があるため参考値として掲載しています。開示翌日基準(上記メインテーブル)の数値を優先してください。

📝 指標の説明
  • 推定取得単価基準: 大量保有報告書に記載される取得価格と株数から加重平均で算出した1株あたりコストを基準とした成績。これがアクティビストのコスト。この水準を意識して行動するため、撤退・追加投資の分岐点になる。
過去投資先の個別実績(13件)
初回報告日 銘柄 リターン(1年) リターン(2年)
2024-10-16 ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765) -41.6% N/A
2024-08-27 山洋電気(6516) +5.4% N/A
2024-07-26 イエローハット(9882) +22.1% N/A
2024-02-15 京阪神ビルディング(8818) -15.8% -22.9%
2023-12-26 大阪製鐵(5449) +12.4% -23.2%
2023-09-15 淀川製鋼所(5451) +35.7% +49.7%
2023-08-08 ゴールドクレスト(8871) +38.6% +50.3%
2023-06-07 東亜道路工業(1882) +12.0% +52.4%
2022-11-25 ダイドーリミテッド(3205) +33.7% +201.5%
2021-05-26 極東開発工業(7226) -20.0% -15.1%
2021-05-21 日本証券金融(8511) +3.2% +15.3%
2021-03-15 タチエス(7239) -8.6% +2.0%
2020-11-11 ワキタ(8125) -27.2% -9.3%

※ リターンはTOPIX超過リターン(報告翌営業日始値基準)。新規報告のみ。

出典: 大量保有報告書 (S100XW6X)

【編集部注】 過去の勝率は高い。では、現時点で保有継続を揺るがすような撤退のシグナルは発生しているか。


7. 撤退の兆候は──エグジットシグナルと検知条件

4つの撤退シナリオについて、観測データと警戒条件を整理します。
撤退兆候?
4項目中0項目が警戒(2項目は手動確認)

平均保有期間: N/A

📝 指標の説明
  • 撤退兆候: 4つの撤退シナリオ(保有比率減少・要求達成・対話膠着・バリュエーション到達)の該当状況を示すパネル。警戒1項目以上で赤、注視のみで灰、全て兆候なしで緑
  • 平均保有期間: このアクティビストの過去案件における平均保有期間。保有期間が短いファンドは早期売却リスクが高い。長いファンドは腰を据えて改善を求める傾向。
  • エグジットシグナルスコア: 50点満点で撤退リスクの総合度を数値化したもの。5つのシナリオ(保有比率減少・要求達成・議決権敗北・需給反転・バリュエーション到達)の合計。STRONG_HOLD(0-15)=撤退リスク低い / HOLD(16-25)=当面継続 / MONITOR(26-35)=継続監視 / STRONG_EXIT(36-50)=撤退の蓋然性が高い。スコアが高いほどアクティビストが撤退に近い状態。追加報告書の提出頻度と合わせて見ると予測精度が上がる。

→ 4項目チェックリスト(保有比率・要求達成・対話膠着・バリュエーション)はいずれも兆候なし。保有比率は15.36%まで増加トレンドにあり、現在株価2,775円も理論株価試算値3,655円を下回る水準。過去の化学セクター案件では還元方針の変更が確認されるまで保有を継続する傾向が強く、現時点での撤退蓋然性は低い。

根拠データ
判定基準
撤退兆候チェックリスト(4項目):
各項目について「兆候なし / 注視 / 警戒」の3段階で判定。警戒が1項目以上でパネル赤、注視のみで灰、全て兆候なしで緑。

① 保有比率減少: 大量保有報告書の変更報告から自動判定。2回連続で減少した場合に警戒。
② 要求達成: 主要要求(増配・自社株買い・ガバナンス改革等)が実現し保有継続の動機が消滅した場合に警戒。現在は手動確認。
③ 対話膠着: 株主総会での提案否決が複数回続き対話にも応じない状態が長期化した場合に警戒。現在は手動確認。
④ バリュエーション到達: 株価が理論株価試算値に到達、またはPBRが業種中央値に収斂した場合に警戒。自動判定。
撤退シナリオ別チェック
● 兆候なし ① 保有比率減少
観測データ: 保有比率 15.36%(直近変動+1.01pp) →S3
警戒条件: 保有比率が2回連続で減少した場合
判定方法: 自動判定(大量保有報告書の変更報告から前回比較)
─ 自動検知の対象外 ② 要求達成
観測データ: 配当性向50.0%(業種中央値32.6%)
警戒条件: 主要要求(増配・自社株買い・ガバナンス改革等)が実現し、保有継続の動機が消滅した場合
今後のアップデートで対応予定です。現時点では月次追跡記事で手動フォローします。
─ 自動検知の対象外 ③ 対話膠着
観測データ: 実質安定株主比率 14.6%、社外取締役比率 56% →S3
警戒条件: 株主総会での提案否決が複数回続き、経営層が対話にも応じない状態が長期化した場合
今後のアップデートで対応予定です(臨時報告書の議決結果パース)。現時点では月次追跡記事で手動フォローします。
▲ 注視 ④ バリュエーション到達
観測データ: PBR(実質) 1.34倍(業種中央値0.80倍の1.7倍)、推定取得単価 2,705円 → 現在株価 2,775円 →S1
警戒条件: 理論株価試算値に到達、またはPBRが業種中央値に収斂した場合
判定方法: 自動判定(PBR・理論株価と閾値の比較)

本チェックリストは撤退兆候の有無を整理したものであり、売買タイミングの助言を構成するものではありません。

出典: 大量保有報告書 (S100XW6X)EDINET有価証券報告書 (S100XT28)

【編集部注】 撤退の兆候はない。最後に、これまでの分析結果を総合したリスクと期待の構成を整理する。


8. まとめ──スコアの構成と根拠

S1〜S7の分析を4つの軸で集約した総合指標。スコアの計算過程とデータ品質を開示します。
総合スコア?
/ 10.0

※ 本スコアはモデル計算値であり、投資判断を示すものではありません。詳細は末尾の免責事項をご確認ください。

リスク要因: 総還元性向 110%(持続不能水準) → 化学業界では世界的な景気減速懸念を背景に、事業ポートフォリオの最適化や生産性向上が喫緊の課題となっている。KHネオケムにおいても、PBR(実質)1.34倍が業種中央値0.80倍を大きく上回る中、ROICやROEの収益性が評価される一方、アクティビストによる非効率資産の売却や還元強化の要求が想定される環境にある。ストラテジックキャピタルは、対象企業の議決権構造上の障壁が低いことを見越し、積極的な関与を継続している。実質安定株主比率14.6%という構成は、同ファンドが過去に成功を収めた化学セクター案件のパターンと合致しており、経営陣への改善圧力が高まる蓋然性が高い。総合スコア7.8は、財務の健全性とアクティビストの行動確率の高さが組み合わさった結果であり、市場環境の変化がバリュエーション是正のカタリストとして機能する可能性を示唆している。

根拠データ
判定基準: 総合スコアの算出方法
総合スコア(0.0〜10.0)
4つの分析軸を重み付け平均した総合指標。
composite = (財務×0.30 + 行動×0.35 + 株主構成×0.25 + 実績×0.10) ÷ 5.0 × 10.0

割安か+下値は堅いか(財務 ×30%)
バリュエーション・資本効率・株主還元余力。§1と§4の分析がこの軸に対応。
5=極めて割安+還元余力潤沢、0=割高+効率的。

どう動くか+撤退の兆候は(行動 ×35%)
本気度・行動確率・戦略予測・撤退リスク。§2と§7の分析がこの軸に対応。
5=AGGRESSIVE+高勝率+エスカレーション、0=撤退兆候。

提案は通るか(株主構成 ×25%)
議決権構造・株主構成・浮動株比率。§3の分析がこの軸に対応。
5=壁が薄い+浮動株潤沢+票読みHIGH、0=壁が厚く変更困難。

過去の打率は(実績 ×10%)
アクティビストの過去案件バックテスト。§6の分析がこの軸に対応。
TOPIX超過勝率×超過リターン中央値。データ不足時は0.0。

データ品質
HIGH=データ十分で信頼性高い / MEDIUM=一部欠損あり / LOW=重要データ欠損。

※本スコアはモデル計算値であり、投資判断を示すものではありません。将来のリターンを保証・予測するものではなく、スコアの高低は売買の推奨を意味しません。

スコア内訳
分析軸スコアウェイトデータ品質?
割安か+下値は堅いか(財務)?3.2 / 5×30%HIGH
どう動くか+撤退の兆候は(行動)?5.0 / 5×35%HIGH
提案は通るか(株主構成)?4.0 / 5×25%HIGH
過去の打率は(実績)?1.7 / 5×10%HIGH
総合スコア?7.8/ 10.0

各軸スコアはS1〜S7の分析データを入力としたAIによるモデル計算値であり、ルールベースの算出ではありません。 同一データに対して実行ごとに微小な差異が生じる場合があります。

AI分析プロセス
アクティビスト意図: 筆頭株主としてDOE導入と政策保有株売却を迫る構え
データ品質: VERIFIED   財務分析: HIGH ガバナンス分析: HIGH 株主構成分析: HIGH

ステージ間分析

⚠ ステージ間の矛盾:
  • 財務分析では総還元性向110.2%と「十分な還元」と評価されるが、ガバナンス分析では「DOE導入による更なる還元安定化」の要求を予測している点。
  • PBR 1.34倍は業種中央値0.80倍を大きく上回る資産評価を得ているが、PER 11.5倍は業種中央値13.8倍を下回る収益評価の低迷という矛盾。
矛盾解消: 現行の還元は利益超過で持続性に懸念があるため、アクティビストは「政策保有株4.67%の売却」を原資とした「DOE(自己資本配当率)導入」による、業績に左右されない還元構造への転換を要求の論拠とすることで整合する。
✔ ステージ間シナジー:
  • 実質安定株主比率14.6%の低さと、アクティビストの15.36%保有という「議決権上の優位性」が、財務分析で指摘された還元余力の解放を促す強力なシナジーとなる。
  • FCF利回り8.88%という現金の創出力が、アクティビストが好む「数理的なROE向上策(自己資本圧縮)」の実現可能性を裏付けている。
相互作用効果:
  • 筆頭株主交代による経営陣への心理的圧力が、次回の決算発表(2026-05-11)での自主的な還元強化策の引き出しを早める効果。
  • 高い資本効率(ROE 85.6%タイル)がPER評価に結びついていない現状が、アクティビストによる「市場評価是正」のキャンペーンを正当化し、他の機関投資家の賛同を得やすくする効果。
調査トピック: KHネオケムのIR情報 / 化学業界の再編動向 / ストラテジックキャピタルの投資動向 | ※ AI生成・外部情報参照



出典:
EDINET有価証券報告書 (S100XT28)
EDINET半期報告書 (S100WG3V)
大量保有報告書 (S100XW6X)
⚠ 重要なお知らせ (Disclaimer)
本レポートは、当サービスが独自に開発したアルゴリズムによる計算結果・統計データを提供するものであり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。 理論株価試算値・スコア等はモデル計算に基づく参考値であり、将来の価格・リターンを保証するものではありません。 データは複数の公開情報源から自動取得しており、正確性を保証するものではありません。重要な判断の際は、必ず1次情報(EDINET・TDnet・企業IR等)でご自身で確認してください。 投資判断はご自身の責任において行ってください。本情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当サービスは一切の責任を負いません。